声を出すお産は、悪いことじゃない

お産の時に、
かなり大きな声を出される方は、
決して少なくありません。

「痛〜い!」


「うわ〜〜っ!」


「ぎゃあーーー!」

分娩室の中では、
そんな声が響くこともあります。

けれど不思議なことに、
私が介助させていただくお産では、
絶叫される方はほとんどおられません。

それでも時々、

叫ばれる方と出会います。

そして、私は長い間――


「声を出さないほうが、産婦さんのため」


だと思っていました。

その理由は、
大声を出すと

体力を消耗してしまうからです。

カラオケで全力で歌った後、
喉が疲れたり、

息が上がったりしますよね。


お産も同じ。

声を出し続けることで、
必要以上に

体力を使ってしまうのです。

声を出すことの「デメリット」

お産は体力勝負です。


だから、

無駄に体力を使わないように――


私はそう考えてきました。

また、

大声を出すことで喉を痛めたり、
声がかすれてしまう方もいます。

そして何より、
お産を終えたあとに冷静になった時、


「叫んでしまって恥ずかしい」

と感じる方が少なくないのです。

分娩室はたいてい個室ですが、
防音ではありません。

大きな声は廊下まで響き、
他の人にも

聞こえてしまうことがあります。

だから私はずっと、
「叫ばないお産のほうがいい」

と思っていたのです。

けれど、

それが間違いだったと気づいたのは――


ある映画との

出会いがきっかけでした。

「痛いから叫ぶ」のではなく、「感じるから叫ぶ」

私のサロンでも上映している
ドキュメンタリー映画
「オーガズミックバース」

そこに登場する女性たちは、
オーガズムを感じながら

お産をしていました。

その中で、

何人もの方が
大きな声を出し叫んでいました。

でも、

その叫びは
「痛いから」ではなかったのです。

ある女性は、
「ウウォーー!」

と叫びながら、


自分の体を

解放しているようでした。

また別の女性は、


「痛みじゃなく、

快感で声が出てしまう」

と話していました。

SEXで絶頂を迎える時、
自然と声が出てしまうように。

彼女たちは“痛み”ではなく、
“快”を感じて叫んでいたのです。

それを見たとき、
私はハッとしました。

「声を出すことを制限してはいけない」
と、

心から思いました。

お産は理性ではなく、本能でするもの

お産は、

理屈で進めるものではありません。


体を感じ、

体の声を聞き、
本能で生むものです。

だからこそ、
そこに余計な指示や言葉を

入れてはいけない。

私は

「オーガズミックバース」

に出会ってから、


分娩介助の

在り方が変わりました。

産婦さんが叫ぼうと、

動こうと――
危険がない限り、


そのまま自由に

任せるようになりました。

お産のときに動き回ったり、
大きな声で叫んだりしていても、


それは“痛み”ではなく

“解放”であることがあるんです。

そのことを、
もっと多くの方に知ってほしいです。

「オーガズミックバース」は、
そのことを体感できる、
とても深い映画です。

ぜひ、

一度ご覧ください。
お産の見方がきっと変わります。